太宰治の同名短編を「隠し剣 鬼の爪」の松たか子と「母べえ」の浅野忠信主演で映画化。 放蕩者の小説家と、そんなダメ夫をしなやかな逞しさで包み込んでしまう妻が織りなす心の機微と愛の形を繊細に描き出す。 共演に伊武雅刀、室井滋、広末涼子、妻夫木聡、堤真一。 監督は「遠雷」「サイドカーに犬」の根岸吉太郎。第33回モントリオール世界映画祭でみごと監督賞を受賞した。 戦後間もない混乱期の東京。小説家の大谷は才能に恵まれながらも、私生活では酒を飲み歩き、借金を重ね、おまけに浮気を繰り返す自堕落な男。 放蕩を尽くしては健気な妻・佐知を困らせてばかりの日々。 ある日、行きつけの飲み屋“椿屋”から大金を奪って逃げ出してしまった大谷。 あやうく警察沙汰になりかけるが、佐知が働いて借金を返すことでどうにか収まる。 こうして椿屋で働くようになった佐知だったが、その評判はすぐに広まり佐知目当ての客で賑わい出す。 そんな佐知の前に、彼女を慕う真面目な青年・岡田や昔佐知が想いを寄せていた弁護士・辻が現われ、にわかに心揺らめく佐知だった。 いっぽう大谷は、そんな佐知の姿に嫉妬を募らせ、ついに馴染みのバーの女・秋子と姿を消してしまい…。