俳優や歌手などマルチに活躍するお笑い芸人・板尾創路が自ら主演し長編監督デビューを飾ったクライム・エンタテインメント。 昭和初期の世相を背景に、収監先でのいかなる拘束も難なく解いては脱走を繰り返すことから“脱獄王”と呼ばれたミステリアスな男の真の目的とその行く末をシュールなタッチで描き出す。 共演は「萌の朱雀」「愛を乞うひと」の國村隼。 ある日、信州第二刑務所に鈴木雅之という男が移送されてくる。 彼はその物静かな風体とは裏腹に、これまで2度に渡って拘置所からの脱走を果たした曰くつきの囚人。 そしてまた、この刑務所でも収監されて1時間足らずの間にまんまと脱獄してしまう。 しかし、必死の捜索に鈴木はあえなく捕まってしまう。そんな鈴木に、看守長の金村は、この男には何かある、との想いに囚われていく。 その後も鈴木は、収容される先々で、その驚異的な身体能力を駆使していとも簡単に脱獄を成功させ、いつしか“脱獄王”の異名をとり、英雄視されるまでに。 一方、微罪だった彼の刑期はいまや計り知れないほど膨らんでいた。やがて、世の中が戦争へと向かう中、政府高官となっていた金村は、ある書類に目を止める。 戸籍を抹消されるうえ、そこへ送られた者は2度と娑婆へ戻ることが出来ないという究極の奈落“監獄島送り”に鈴木雅之の名が記されていたのだった…。