女の名は宮城野。運命に翻弄されつつも己が信ずる情の世界を生きる、年増女郎。 男の名は矢太郎。華麗なる役者絵の世界の裏街道を生きる、若きニセ絵師。 寛政六年――江戸の処刑場。 今、まさに処刑されようとしている女郎の名は……“宮城野”。 罪は、当代随一の天才浮世絵師、写楽殺し――。 殺しの証拠は、一枚の、写楽の傑作浮世絵――。 その絵の名もまた……“宮城野”。