現役の看護師でありながら病院内で適切な処置を受けられずに急死した浪子。 彼女の葬式を終えた息子で新米医師の弘平は、母の遺品の中から一冊の古い日記帳を見つける。そこには、看護師としての様々な日々が綴られていた――。 1989年。 大学病院に依存し、外科手術ひとつまともに出来ない体たらくの地方病院、さざなみ市民病院。そこへ、ピッツバーグ大学で高度な外科医術を身につけた医師・当麻鉄彦が第二外科医長として赴任する。 院内の旧態依然とした慣例に囚われず、患者のことだけを考えて正確かつ鮮やかに処置を行う当麻。 彼のひたむきな姿勢は周囲の反発を招く一方、腐敗した病院に風穴を開け、オペ担当のナースとして当麻と一番身近に接していた浪子も仕事への情熱を取り戻していくのだった。 そんなある日、市長の大川が末期の肝硬変で搬送されてくる。当麻は、大川を救済する唯一の手段だが日本の法律ではまだ認められていない脳死肝移植を施すことを決断するが…。