「パリ空港の人々」「灯台守の恋」のフィリップ・リオレ監督が、次第に不寛容へと傾きつつある移民政策を真正面から取り上げ、本国フランスで大ヒットしたヒューマン・ドラマ。 イギリスに移住した恋人に会うため、最後の手段としてドーバー海峡を泳いで渡る決意をしたクルド難民の少年と、ひょんなことから彼の泳ぎを指導することになったフランス人中年男性が、次第に心を通わせ、絆を深めていく姿を真摯な眼差しで綴る。 主演は「すべて彼女のために」のヴァンサン・ランドンと新人フィラ・エヴェルディ。 2008年12月、フランス北端の街カレ。 イラクの国籍を持つ17歳のクルド難民ビラルは、家族と共にロンドンに移住した恋人を追って、イラクから4000キロの距離を歩いてやって来た。しかし、ドーバー海峡を越えるべく密航を試みるも失敗に終わり、カレに足止めとなってしまう。 もはやビラルに残された手段は、海峡を泳いで渡る以外にはなかった。そして、市民プールで子どもや老人相手に指導をしているフランス人シモンにコーチを懇願する。 最愛の妻と離婚調停中のシモンは、難民支援のボランティアをする妻に認めてもらえるのではとの思いから、コーチを引き受けることにするのだが…。