フランソワ・オゾン監督「エンジェル」の原作でも知られるイギリスの女性作家エリザベス・テイラーが71年に発表した小説を映画化したヒューマン・ドラマ。 ロンドンの長期滞在型ホテルを舞台に、晩年を迎えた老婦人と偶然出会った青年との心温まる交流を綴る。 主演はベテラン女優ジョーン・プロウライト、共演は本作後には「ヴィクトリア女王 世紀の愛」「わたしの可愛い人―シェリ」などにも抜擢されたイギリスの新鋭ルパート・フレンド。 監督はこれが長編3作目となる「草の上の月」のダン・アイアランド。 ロンドンの街角にひっそりと佇むクレアモントホテル。この長期滞在型ホテルに一人の老婦人サラ・パルフリーがやって来る。 最愛の夫に先立たれた彼女は、人生の晩年を娘に頼ることなく自立して生活していこう考えていた。ところが、想像とかけ離れたホテルの現実とクセ者揃いの滞在客に落胆してしまう。 周囲からすっかり取り残されたようなこのホテルの長逗留者たちにとって、外からかかってきた電話と訪問客は何よりの関心事。 そんな彼らを相手にロンドンに住む孫デズモンドのことを自慢げに話すサラだったが、肝心のデズモンドからは待てど暮らせど音沙汰なし。すっかり困り果てたある日、サラは作家志望の青年ルードヴィックと出会う。 そして、ひょんな成り行きから彼にデズモンドのフリをしてもらうことになるのだが…。