「サラエボの花」のヤスミラ・ジュバニッチ監督が、紛争の傷を心に抱え、現代のサラエボに生きる一組の男女の愛の行方を描いたヒューマン・ドラマ。 異なる民族、宗教が共存していたかつてのサラエボが、紛争を経て、イスラム教徒が大半を占めるようになり、その中で新たな不寛容も台頭してきているという社会情勢を背景に、困難に直面したヒロインの不安と、それでも前へと踏み出すひたむきな姿を繊細に綴る。 紛争から10余年が経ち復興が進むボスニア・ヘルツェゴビナの首都、サラエボ。 この街に暮らす若い女性、ルナ。かつて、目の前で両親を殺されるという過酷な経験をした彼女だったが、現在はキャビン・アテンダントとして働き、今を大切にして充実した日々を送っていた。 目下の悩みは、同棲中の恋人アマルの飲酒癖と、彼との子どもが欲しいのになかなか妊娠できずにいること。 そんな中、アマルが勤務中の飲酒が発覚して停職になってしまう。 ほどなくして、偶然再会した旧友から仕事を手配してもらったアマル。しかし、その旧友がイスラム原理主義を信仰していたことから、アマルも急速にイスラム原理主義に傾倒していく…。