北海道函館市出身で90年に自ら命を絶った小説家、佐藤泰志の未完の連作短編集を、函館市民が中心となって映画化したヒューマン・ドラマ。 原作から5編をセレクトし、函館市をモデルにした“海炭市”を舞台に、そこに生きる市井の人々の人生模様をオムニバスタッチで綴ってゆく。 監督は自身も北海道出身、「ノン子36歳 (家事手伝い)」の熊切和嘉。 冬の海炭市。 造船所が縮小され、大規模なリストラが断行される。 妹とつましく暮らしていた颯太も職を失い、兄妹は不安の中で年越しを迎えようとしていた…。 再開発地域にただ一軒残る古い家。市役所のまことは、一人で暮らす70歳のトキばあさんに立退きの説得を試みるが…。 プラネタリウムで働く49歳の隆三。 水商売の仕事を始めた妻との溝は深まるばかりで…。 ガス屋を継いだ晴夫は仕事が行き詰まり苛立ちを募らせる。一方、再婚の妻は、晴夫の不倫を知り、晴夫の連れ子を虐待してしまう…。 路面電車の運転手を務める達一郎はある日、東京で働いている息子・博の姿を見かける。 博は仕事で地元に帰って来ていたのだが、決して父親とは会おうとせず…。