日本映画界現役最高齢の新藤兼人監督が、“映画人生最後の作品”との思いを込めて撮り上げた感動の反戦映画。 32歳で招集され、同じ部隊の兵士100人のうち、終戦を迎えたのはたった6人のみという監督自身の過酷な戦争体験を基に、“一枚のハガキ”が巡り合わせた一組の男女の運命を通して、戦争の不条理に翻弄され家族を破壊された市井の人々の無念と再生への道のりを、ユーモアを交えつつ力強い筆致で描き出していく。 主演は豊川悦司と大竹しのぶ、共演に六平直政、大杉漣。 戦争末期に招集された100人の中年兵たち。 誰がどの戦地に向かうかは、上官がクジを引いて決めていた。しかし戦地への赴任は、そのまま死を意味していた。 そんなクジ引きが行われた夜、松山啓太は仲間の兵士・森川定造から妻・友子が送って寄こした一枚のハガキを手渡される。 フィリピンへの赴任が決まり、死を覚悟する定造。検閲が厳しく返事を出せないことから、宝塚への赴任が決まった啓太に、もし生き残ったら友子にハガキを読んだと伝えてくれと依頼する。 戦争が終わり、わずか6人の生き残りのうちのひとりとなった啓太。やがて、定造から託されたハガキを手に、友子のもとを訪ねるが…。