バルザックの『知られざる傑作』を原作に撮った、ジャック・リヴェット監督作品。 孤高の画家リベットは、自らの最高傑作“美しき諍い女”を描こうと妻をモデルにするが完成直前に破棄してしまう。 そして10年後。 彼の前に、若いモデル、マリアが現れた事から彼は再び“美しき諍い女”の仕上げにとりかかるが……。 4時間にも及ぶ上映時間の作品でありながら、全くその長さを感じさせない傑作。セリフの全くない、デッサンを描くシーンでの鉛筆の音だけが響きわたる画家と女との緊張感溢れる場面、そして女(=人間)の本性をキャンバスに描き込むという本作のテーマが露になる衝撃的なラスト・シーンと、その奥深い哲学的思想には思わず感服してしまう。