「旅芸人の記録」「シテール島への船出」「霧の中の風景」のギリシャの巨匠テオ・アンゲロプロス監督が「エレニの旅」に始まる3部作の2作目として手がけた映像叙事詩。 なお、アンゲロプロス監督は本作に続く第3部を撮影中の2012年1月、突然の交通事故で他界、本作が監督にとっての遺作となってしまった。エレニを軸に、20世紀の激動の歴史に翻弄された男女3人の半世紀にわたる愛の軌跡が、エレニの息子“A”の目を通して語られていく。 出演はウィレム・デフォー、イレーヌ・ジャコブ、ブルーノ・ガンツ、ミシェル・ピッコリ。 20世紀末のローマ。 映画監督の“A”は、母親エレニの愛の物語を映画にしようと苦闘していた。1953年のソ連。 かつて愛するスピロスと引き裂かれたエレニはギリシャ難民の町テミルタウに暮らしていた。そこに彼女を追って遥々やって来たスピロスが現われ、2人はようやく再会する。 ところが、スターリン死去の混乱の中で2人は逮捕され、再び離ればなれとなってしまう。シベリアに送られたエレニは、既にスピロスの子を身ごもっていた。そんな苦境のエレニを、彼女に一途な想いを寄せるイスラエル難民ヤコブが支えていくが…。