「ノー・マンズ・ランド」「美しき運命の傷痕」のダニス・タノヴィッチ監督が、母国ボスニア・ヘルツェゴヴィナの新聞記事を目にしたときの怒りを原動力に撮り上げた衝撃と感動のヒューマン・ストーリー。 貧困と差別に苦しむロマの一家に訪れた命の危機をめぐる真実の物語を、当事者たちを起用し、まるでドキュメンタリー作品かのように忠実に再現していく。 2013年のベルリン国際映画祭では、主演男優賞を含む3冠に輝いた。 ボスニア・ヘルツェゴヴィナ。 貧しくも幸せに暮らすロマの一家。 ある日、3人目を身ごもっていた妻セナダが激しい腹痛に襲われ、夫ナジフが借りた車で病院へと運び込まれる。 診断の結果、5ヵ月の胎児はすでにお腹の中で死んでおり、大きな病院ですぐに手術しないと母胎の命も危ないと言われる。 しかし非情にも、保険証を持たない夫婦には高額な手術代が必要となってしまう。 それは、ナジフにはとうてい工面できる額ではなかった。 それでも、妻の命を救うためにあらゆる手を尽くすべく懸命に奔走するナジフだったが…。